yabえほんプロジェクト

SDGS

地域の未来と
社員の未来のために。
西京銀行のSDGsへの取り組み

周南市に本社をおく西京銀行では、SDGsの考え方を事業に取り入れ、地域と、そこで働く人々の未来のための挑戦を進めています。2019年に「西京銀行グループSDGs宣言」を発表して以来、それを単なる目標として掲げるだけでなく、達成に向けた具体的な活動を精力的に行っています 。

画像:西京銀行外観

中でも特に力を入れているのが、「地域社会・経済の活性化」と「人権・ダイバーシティの推進」という二つの柱。この取り組みを担当する、ビジネスコンサルティング部の佐伯武祐部長と、人財サポート部の新本幸副部長にお話を伺いました。

画像:絵本を持って並ぶ社員
写真左から 人財サポート部 内田 百香主務・新本 幸副部長、ビジネスコンサルティング部 佐伯 武祐部長

「地域のシンクタンク」として、企業の“右腕”になる

「社長の右腕的な存在がいない会社は結構あるんです。社長が頭の中で色々考えても、一緒に実現してくれるパートナーがいない。その社長の参謀に、私たち銀行がなります」
ビジネスコンサルティング部を率いる佐伯部長は、自らの役割をこう説明します。

画像:ビジネスコンサルティング部・佐伯部長

西京銀行がSDGsへの取り組みを通じて目指すコンセプトは「地域のシンクタンクになる!」 その背景には、山口県が直面する深刻な人口減少という現実があります。佐伯部長は「1985年頃に約160万人いた人口が、40年かけて130万人を切りました。問題なのは、この先20年間でさらに30万人減ること。減少ペースが倍になるんです」と語ります。この数字は、誰も経験したことのない市場環境が訪れることを示唆します。働き手は減り、市場は縮小する。この大きな課題に、地域の事業主たちは日々頭を悩ませています。

画像:市場のグラフ

そんな経営者の悩みにまとめて応えるのが、ビジネスコンサルティング部です。これまで金融機関の主な役割だった融資や預金だけでは、もはや顧客の課題すべては解決できません。

そこで、経営戦略の策定支援から、DX・IT化、さらには人材不足に対応するためのインドネシアからの人材紹介まで、企業の経営課題を幅広くサポートする体制を築きました。そうして昨年10月、行内に分散していた専門機能を集約し、約40人体制の専門部隊として本格始動したのです。

特にユニークなのがDXコンサルです。

「県外の大手に頼むと、パッケージで何千万円もするオーバースペックなものしか選択肢がありませんでした。そうではなく、私たちはもっと小さなところから、安価にお手伝いします」。

画像:ビジネスコンサルティング部・佐伯部長

その担い手は、元システム会社の専門家3人に加え、これまでバイクで外回りをしていたような若手行員たちです。彼らがITリテラシーの高さを活かし、世の中の便利なアプリを顧客に合わせてカスタマイズしています。この身近で手頃な支援が、県内企業から大きな支持を得ているといいます。

相談は後を絶たず、「毎日1件以上は中小企業さんからの相談がうちの部に来る」ように。

こうしたコンサルティング活動を通じて、2028年3月期にはビジネスコンサルティング部として年間収益10億円以上を目指しています 。それは単なる収益目標ではなく、縮小する市場の中でも企業価値を高め、山口県全体の経済を活性化させるという、地域金融機関としての強い思いの表れと言えそうです。

「働きやすさ」から「働きがい」へ。日本一女性が輝く銀行を目指して

もう一つの柱である「人権・ダイバーシティ」の推進。その中心にいるのが人財サポート部です。西京銀行では「女性が働きがいのある銀行日本一」という目標を掲げ、厚生労働大臣が認定する「プラチナえるぼし」の取得を目指しています 。

「これまでは制度を整え、『働きやすさ』はかなり実現できてきたと思います。でもこれからは『働きがい』です」

人財サポート部の新本副部長はそう力を込めます。

画像:人財サポート部・新本副部長

同行の女性行員比率は約半数を占めますが、管理職となるとその割合は20%に留まります。これを2年後に25%まで引き上げるのことを目標に掲げています。

「働きやすさ」に向けてはこれまでも出産祝金や育時短勤務、総合職への一本化など整備。今年6月からは家族の看護や介護、不妊治療などに対応した「ライフサポート休暇制度」も新設し、女性が輝きやすい制度作りに取り組み続けています。ただ、目標達成のためには新本副部長の言葉通り、その先に「働きがい」のある環境をつくることの必要性に注目しています。

その「働きがい」を高める上での課題として、管理職の女性比率の低さや、男女間の有給取得率、残業時間の差などを挙げていますが、その解決策は「女性にもっと残業させよう」という単純なものではありません。

「例えば、管理職が月60時間も残業していると、それを見た女性は『私にはできない』とチャレンジする前から諦めてしまう。そうではなく、業務そのものを見直し、男女関係なく誰もが目指せるような環境を作りたいんです」。

画像:こどもや子育てにやさしい休み方改革企業取組コンテスト 表彰状

また、これまで男性が中心だった法人営業の分野に女性が挑戦できる環境を整えることにも注力します。「将来、支店長になりたいと思ってもらうには、若い頃から経営者と向き合う経験が必要です。その業務から性別の垣根をなくしたい」。

新本副部長は、目指す組織の姿をこう語ります。

「男性、女性、外国人、そういうの関係なく、多くの人が自分の能力を最大限発揮できる組織。それが企業の成長に繋がるはずです」。

女性が働きやすい職場は、男性にとっても働きやすい。西京銀行の挑戦は、すべての行員が主役になれる組織づくりそのものにつながっています。

画像:女性社員

地域企業の成長を支え、多様な人材が輝く職場をつくる。西京銀行の取り組みは、人口減少という大きな課題を抱える地方にとって、持続可能な社会を作っていく一つのモデルと言えそうです。